カムシャフトの棺

他愛ない文学的な、交換日記です。

010.毒にも薬にもならないけど(尾崎末)

 おお……、お久しぶり……。何か、あの、ごめんね……。初手安定の謝罪……。

 

 謝罪も大事だけど、先ずはこれを先に伝えなければ。

 「Polaris」と「一白界談」頒布おめでとう! 一人三十三話とか正気かよって思ったけど、正気じゃなかったんだね……。でも本当、こんなに書けるのはとても素晴らしい事だし、それをやり遂げた君達には尊敬の念を抱いています。拍手。

 通販開始した時は教えて下さい。買いますので。

 

 君が苦しんだり悩んだりしながら創作をしている間、私は何も作らずぼんやりと過ごしてしまったもんだから、君が誰かと一緒に物作りしているのを見て身の程知らずにも羨ましく思ってしまいました。

 でもいい起爆剤になったと思っています。私も何か小説書いて本作ったり、ゲームを作ったり、色々します。どうか生暖かく見守っていてね……。

 

 

 さて、今年はいつもと違って社会全体が大きな混乱の中にあったように思います。

 思います、なんて他人事の様に言っているけど、実際割と他人事のように感じています。強いて言えばマスクなんてした事ないのに毎日マスクしなきゃいけないからそれだけが面倒だなぁ、という事くらいです。普段からニュースを観ないせいか、いい歳して社会の動きそのものに鈍くなったような気がします。良くないな。

 こんな混乱の中にあって、君が二つもの作品を形にしたというのは本当に本当にすごい事です。

 そこに伝えたい何かがあっても無くても形となってそこに存在する、それだけで誰かが何かを感じ取ってくれるモンだと思っているフシが私にはあるので、そういう物を作り出した君の力強さに圧倒されるばかりです。

 そんな君の存在が近くにあるのは、私にとって羨望や嫉妬を伴って、誇らしく嬉しい気持ちであるのです。本当に、君が友達でいてくれて良かったと心から思えます。

 叶うなら、また君と何かを形にできれば嬉しいです。

 

 

 君はよく私の事を褒めてくれますが、私自身は毒にも薬にもならない人間だと思っています。薬になれないならせめて毒になろうと必死に毒を演じている、実質の無いつまらない人間です。

 だから君が褒めてくれる度に嬉しくなるのですが、自分自身が情けなくもなります。

 それでも、君が褒めてくれた私がもしかしたらどこかに存在していて、頑張ればそういう私になれるかも知れないと思うと、何だか毒でも薬でも無い私に自信を持てる気がするのです。

 

 余り言葉にして君に伝えていない気がするので、君に改めて伝えようと思うけど、私は本当に君の事を好きなんです。

 私、人の悪口を言って平気で貶める様な人として最低な悪癖があるのだけれど、君に対して悪しざまに言ったり思ったりした事が本当に一度だって無いんだ。人の悪口を平気で言う、なんて白状した口で言っても説得力はゼロかも知れないけど……。

 君から見て私は未熟者でイラつく事もあると思うけど、それでも根気強く友達でいてくれる君を本当に尊敬しているし大好きな友人と思っています。

 

 文章に纏まりが無くなったので今回はここで止めるけど、少しでも日頃の感謝が君に伝わりますように。ていうかちゃんと交換日記になってなくてゴメンよ。

 

 

 今回の弔いの文章は、今作ってる乙女ゲーの冒頭です。

 使う予定の文を弔うというのもおかしな話だけど、まあ見逃して欲しいな。

 

 サテ どなたもこなたもご傾聴!


 これより論じますは かつては将軍様のお膝元 今では人のるつぼとなり給うた華の東都(とうと)にて巻き起こる 奇妙奇天烈な物語にて御座います!

 ヤア あちらより来たります赤髪の少女を御覧ください!
 燃え盛る炎のように陽光に煌めく髪の毛を鮮やかな若草色の和布で結い上げ 髪の毛と同じ色をした真っ赤なスカァト 細い体躯に似合わぬ大きな下駄を履いて 極めつけは両の眼(まなこ)で違う色!
 嫌でも目につくその少女は はて 何やら逃亡中の様子 その小柄な体躯に似合わぬ大きな下駄はカラコロと鳴り 猫の首につける鈴が如く 居所を間断なく周囲に知らせているのさえ 気にする暇(いとま)も無いと来た!

 サア 皆の衆! ここからが面白いのだから どうか最後まで耳を離さずしっかとお聞き届けを願う次第!

 

 それではこれより 開劇にて御座います!

 

 いい加減、一つくらいはゲームちゃんと作りたいな……。